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落語・青菜

■ひょっとこ」「おかめ」の語源

「語源」を探って、「へェ~」と納得するのは、ことば遊びの楽しみの一つです。
今日は、「ひょっとこ、おかめ」の語源をたどってみます。

日本に古くからある「ひょっとこ」のお面。
醜男を代表する「ひょっとこ」は、「火男」からきたもので、火をおこすのに、口をつぼめて突き出し、息を吹きかけながら、 煙たいので片目を細めている顔つきを、お面にしたものです。

一方の「おかめ」。器量の悪い、下働きの女性のように見えますが、昔は、しもぶくれのした「おかめ顔」が美人だったのです。
熱田神宮の巫女であった「亀女」の顔が、こぼれんばかりの愛きょう顔をしていたため、人々がその顔をかたどったお面を作って親しんだ。
それが、現在に受け継がれているのです。


【吉村外喜雄のなんだかんだ - 596】
~ことば遊び~ 「落語・青菜」

落語には、殿様と職人、あるいは極端に気の短い男と、気の長い男というふうに、身分や性癖のまったく違った人物の、 ちぐはぐなやりとりと、間の抜けたやりとりで、笑わせる噺が多い。「青菜」もそうした噺の一つです…。

♪さるお屋敷で、旦那様が植木屋をねぎらい、
縁側で一休みするようにと勧めた。
「酒を飲むか」と尋ねると、『大好きだ』と答えたので、
「奥や、植木屋さんにな、ご酒を持ってきてあげてください」
と言って、肴に鯉のあらいを出して、雑談を始めた。

「ときに、植木屋さん、あなた、菜をおあがりかな」
と問うと、大好物だとのことなので、出してあげるようにと言う。
すると、「旦那様」と言って、奥様が打ち明けた。
「鞍馬から牛若丸がいでまして、その名を九郎判官」
「では、義経にしておきなさい」
と答えてから植木屋に、まだ菜があると思っていたら、
食べてしまってもうないんだそうだと、謝った。

ところが植木屋が、鞍馬とか義経とかのやりとりを、
来客だと勘違いしたので、夫婦の間の隠し言葉だと打ち明けて、
来客の折り、言ったものがなければ、お客様に対して失礼にあたる。

そこで、「鞍馬から牛若丸がいでまして、その名を九郎判官」
菜は食べてしまってないから、"菜を食ろう"というシャレで、
「その名を九郎判官」
そこで私が"よしとけ"と言うところを、「義経にしておけ」と、
こうしゃれたわけだ。

これを聞いた植木屋、さすがお屋敷は違うと、感心することしきり…。
自分も真似がしたくなった…。
長屋に戻ると早速、がさつな女房に「これこれしかじか」と、話して聞かせた。

「こういうことは、てめえにゃ言えめえ」 『言えるわよ、それくらいは』
「言えるなら言ってみろ」 『鯉のあらいを買ってごらんよ』
「あれッ、ちくしょうめ、人の急所を突いてきやがる」
と、言い合っているところに、大工の熊公がやって来たので、
女房を押入れに隠れさせて、早速、お屋敷の真似を始めた。

ところが酒は安物だし、鯉のあらいだと言って出したのが、鰯の塩焼き
という有様。
では、奥の手をと…「ときに、植木屋さん、あなた、菜をおあがりかな?」
『なに言ってんだ、植木屋はおめェじゃねえか…おらァ、大工だよ!』
「あなた、菜をおあがりか?」 『嫌れェだ!』

がきのころから菜は大嫌いだと言うのを、なんとかなだめて、
菜を食べさせることにし、ポンポンと手を叩いて命じると、
押入れから、汗びっしょりになった女房が出てきた。

『旦那様、鞍馬から牛若丸がいでまして、その名を九郎判官義経…』
全部言われてしまった植木屋、
「えッ、義経?…う~ん、じゃあ、"弁慶"にしておけ」

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