■ことば遊び 「尻取り歌」
『いろはに こんぺいとう こんぺいとうは甘い 甘いは砂糖
砂糖は白い 白いはうさぎ うさぎははねる はねるはカエル
カエルは青い 青いは柳 柳はゆれる ゆれるは幽霊
幽霊は消える 消えるは電気 電気は光る 光るはおやじのはげ頭』
『ミカン キンカン わしゃすかん 親はせっかん 子はきかん
子ども羊かん やりゃ泣かん ミカン キンカン 酒のかん
主の言うこと わしゃきかん 隣のねえさん 気がきかん
ミカン キンカン そりゃあかん 角力取り裸で 風邪ひかん』
※くちずさむほどに、忘れていた子どもの頃が思い起こされる。
566 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
~ことば遊び~ 「落語・味噌蔵」
落語ネタに欠かせないのが、そそっかしい男に間抜け男、放蕩息子にドケチ親父…。
「落語・味噌蔵」も、私の好きなネタ噺の一つです。
♪赤螺屋(あかにしや)の主(あるじ)ほどケチな旦那はいない!
もう四十に手が届こうというのに、
「世の中に女房くらい無駄なものはない。一日三度も食べるし、その上子供でもできたら、 大変なもの入りだ」とおっしゃる。
そうは言っても、老舗の味噌屋の主人である。いつまでも独り身では世間体が悪い。
親類が集まって、おかみさんを持たないなら、親類一同お付き合いをお断りしたいと、談判。
仕方なく、身体が丈夫で食の細い女なら…と、嫁をもらう。
婚礼が済むと、お嫁さんは二階で寝てもらい、自分は階下で寝ることにした。
ひどく寒い晩があって、煎餅布団だから眠れない。
女房が、婚礼に綿がたっぷり詰まった布団を持ってきたのを思い出して、二階へ…。
しばらく寒い晩が続いたので、二階に通ったが、間もなく嫁が身ごもったことがわかり、うろたえてしまった。
だが、女手がないと理由をつけて、お里に預けることに。
出産の費用や、親類を呼んでのご馳走は、里が引き受けてくれる。
月満ちて…男の子が生まれた。
お祝いに招待された味噌屋の主人は、定吉を供に渋々お里へ行くことになった。
定吉には大きなお重を持たせる。ご馳走をたっぷり持ち帰るためである。
出がけ、留守番の店の者に釘をさす。
「くれぐれも火の用心を…」
「近所から火事が出たら、商売物の味噌で味噌蔵に目塗りをするように」
焼けた味噌は、はがしてご飯のおかずにすれば、無駄がない。
旦那が出かけると、この時とばかりに、店の者が羽を伸ばすのは…世の常。
なにしろ毎日の食事は、具のない味噌汁だけで、お菜が出たことは一度もない。
「どうせ今晩、旦那は帰らないのだから、みんなで美味しいものをいただこう。
お金の方は番頭さんが帳面をごまかして…」と、店の皆がそそのかすと、
番頭も乗り気で「食べたいものを言いなさい!」
皆は大喜びで、刺身、酢の物、天ぷら、鯛の塩焼き、ブリの照り焼き、
玉子焼き、鰻、田楽!
「さあさあ、みんなひとっ走り頼んできておくれ。それから田楽は豆腐屋に、
冷めてしまうとうまくないから、二、三丁ずつ焼いて、持ってきてもらうように…」
その夜、店の中は酒盛りのどんちゃん騒ぎ…。
そこへ、泊まるはずの旦那が帰ってきてしまった…さぁ大変。
旦那様、店内の有様を見て激怒していると、表の戸を叩く声がする。
「今晩は、今晩は、焼けてまいりました」との声。
どこからだと聞くと、横丁の豆腐屋からだと言う。
「二、三丁焼けてまいりました。あとからどんどん焼けてきます」
これを聞いた旦那様、「火元は近い!」と、慌てて表の戸を開けたとたん、
田楽のにおいがプ~ン。
「あッあ~ッ、いけない! 味噌蔵に火が入った」
学習研究社「落語ギャラリー60」