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石川県をライバル視する富山県

石川県は、台湾のエバー航空に「小松-台湾」チャーター便増発を働きかけてい
る。今年、エバー航空がボーイング(216人)から、エアバス(253人)に変更する
に伴い、滑走路が二千メートルの富山空港への乗り入れが出来なくなる。

そこで、新たなチャーター便の就航先として、2,700メートルの滑走路を持ち、
大型機への対応が可能な、小松空港に着目。エバー航空は昨年、富山空港で
78便就航した実績があり(小松はわずか5便)、富山県は危機感を強めている。

04’の石川県の外国人宿泊数は、前年比6割増の7万8千人。うち台湾からが、
前年1万6千人から二倍の3万3千人と、全体の43%を占める。台湾人に最も
人気のある「雪・花・温泉」。
外国人観光客誘致に力を入れる石川・富山の両県、互いに譲れないところです。
                                       3/8 北国新聞

【吉村外喜雄のなんだかんだ  - 120】
「石川県をライバル視する富山県」

昨年秋、五輪誘致に敗れたパリ市民は、「ロンドンだけには負けたくなかった」
と悔しがった。ライバルがいることは、互いに発展するためには良いことです。
が、これが、身近な隣人同士となると、始末に負えない…。
今回の誘致合戦でシラク大統領、熱心さのあまり、つい口をすべらせ、イギリ
ス料理をこき下ろし、物議をかもした。このニュース、まだ記憶に新しい…。

近年、韓国や中国は日本に、政治・経済・スポーツ、すべての面で、露骨なまで
のライバル意欲を燃やしている…。
国内でライバル関係といえば、関東と関西、東京と大阪の比較論が盛んだ。
関西では、大阪と京都が何かと張り合う。岡山と広島、浜松と静岡、鹿児島と
熊本など、挙げればきりがない。

身近には、富山県が石川県を、富山市が金沢市をライバル視するのは、今に
始まったことではない。
石川県は温泉どころ。富山県には立山黒部ルートがある。県外からの観光客
誘致で、富山県は石川県に追いつき追い抜せと頑張ってきた。そして、ついに
石川県を追い抜いた…。

富山県は今年度、企業誘致の助成金を最大30億円から、50億円に引き上げ
た。前年一足先に、上限を35億円に引き上げた石川県を強く意識しての措置
である。
大手企業の、中国への進出ラッシュが一段落し、国内回帰の動きが強まる中、
全国各地で IT関連を中心に、企業誘致合戦が激しくなってきている。
そんな中での両県のせめぎ合いである…。
JR新幹線誘致では、富山市までとなっていた"フル規格"。金沢まで延長する
ことに成功した、石川県のねばりもすごかった…。

一方、町村合併で見せた富山市の、金沢市に対するライバル意識もすさまじ
い。金沢市が、隣接するベッドタウンの野々市町、内灘町にソッポをむかれ、
合併ゼロに終わったのに、富山市は、隣接の7市町村が大同合併し、人口42
万の都市になった。
金沢に追いつくまで、もう一歩のところまできた。金沢(45万)を抜いて、北陸
一に執念を燃やす。近い将来"道州制"になったときの「州都」を夢見ているの
でしょう…。
富山県のライバル意識は、小松空港と富山空港のせめぎ合いにも見られ、
「上海便」獲得競争に露骨に表れる。一昨年、石川県と激しい誘致合戦を繰り
広げ、一敗地にまみれた富山県。
昨年突然、10月から富山ー上海便を"週3便"就航させると発表した。

週に2便就航していた小松ー上海便も、富山に負けじと、火曜に一便増便した。
今の中国、海外旅行は容易ではない。個人が日本のビザを取得するには、
日本側の身元保証がいる。また、かなり所得がないと、パスポートも手に入ら
ない。高度成長真っ只中の中国だが、海外旅行はまだまだ。一部の富裕層に
限られている。

中国からの観光客が期待できない中、北陸という狭い地域での顧客の奪い合
い…。週2便が一気に6便になって、共倒れになるのは誰の目にも明らか。

しかも、富山空港週3便のうち2便は、先に運行している小松と同じ、木曜と
日曜にぶつけてきた。限られた顧客獲得に、戦いを挑んできたのです。
小松便を利用する客の20%は、富山県から…。富山県航空対策課では、
小松に流れるすべての客を取り戻そうと、ライバル意欲を燃やしている…。

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