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相手の身になってウイ・サーブ

月刊致知」安藤忠雄&牛尾治朗の対談から…。
西欧諸国は、何百年と豊かさに慣れ親しんできた歴史がある。だから豊かになると、寄付行為や奉仕活動などで、 積極的に社会に還元しようとする。
過去、そういうお手本が沢山あって、豊かさの中でなお立派であることに、伝統的に慣れているのです。
ところが日本は、「おしん」や「野口英世」に代表されるように、貧しさの中の哲学、清貧の論理はある。けれども、 豊かさを手にしてまだ歴史が浅いせいか、豊かさの中の哲学と論理が出来上がっていない。日本人は、豊かさにまだ慣れていないのです。
ところが、ここ数十年、初めて豊かさを手にした日本人は、リッチに生きることや、立派であることに戸惑うのです。

戸惑った日本人は、お金がたまると、個人の豊かさのみを追い求め、物質的欲求の満足に酔いしれ、堕落してしまう人が多いのです。
困っている人たちへの寄付行為や、奉仕活動に還元することへの理解が、まだまだ足りないのです。

【心と体の健康情報 - 196】
~幸せな人生を歩むために~
「相手の身になってウイ・サーブ」

以前、私がライオンズクラブに入会していた頃、学んだことです。
誰もが、思いやりと感動に満ちた人生を歩みたいと思っている。そのためには、相手の身になって考え、 行動することが大切です。

”相手の身になる”ことをライオンズクラブでは、「ウイ・サーブ」 と言います。
”サーブ”とはサービス、相手の身になってサービスをすることです。これがなかなか難しい。

ライオンズクラブは、経営者の社会奉仕団体です。
当時、献腎・献眼運動、ガン撲滅基金設立運動などを、懸命にやっていた。

「ウイ・サーブ」の精神に則り、様々な奉仕活動をやっていたが、当時の私は、公園に銅像を寄付したり、 施設に車椅子やテレビを寄贈したり、街を清掃するといったことに参加して、奉仕活動をしている気になっていた。
困った人たちと直接向き合い、お手伝いする奉仕活動ではなく、 モノを寄付することでもって慈善事業とするような活動が多かった。

日頃のお付き合いの中で、相手のことを思いやって、首を突っ込み過ぎれば、それは単なるお節介。 良かれと思ってやって、「デリカシーに欠ける」と非難されたこともある。

ところで、サービスとは何でしょうか? サービスとは「タダ」ということです。
「金銭で数えられないこと」「無駄・おまけ」。”サービスをする”とは、この無駄、おまけを、いっぱいすることです。
戦後教育で、徹底した合理主義が叫ばれたことによって、生活の中での無駄や損を排除しようとする傾向がある。 お金にならないこと、損することはやらない。計算高く生きる…。今の世の中を見ていると、そんな気がするのです。

一方、台風で水害に遭った豊岡や、中越地震の後、若者が沢山被災地に入り、「ウイ・サーブ」の精神で、 ボランティア活動をしている。こうした若者達を見るにつけ、恥ずかしいのは、お金を少し寄付しただけで、 何もしていない私の方でしょう。
「ウイ・サーブ精神」は、3才の頃からの家庭内の”しつけ”の中から養われる。
幼い頃から家事を分担させ、責任を持たせ、家族の一員として、感謝とお役立ちの精神を養っていく。
勉強一辺倒で、家事を手伝ったことのない子どもは、大人になって、”何かを人にして喜んでもらう” といった行為の素晴らしさに気づかない。

”損得”で考えるなら、ボランティアをしたところで、一銭の得にもならない。
「ウイ・サーブ」の精神で、お世話になっている世の中にお返しをする…。
ほほ笑みでもって人に接すれば、ほほ笑みが帰ってくる。自分がしてもらって嬉しいことを、相手にもしてあげればいいのです。

しかし、相手が喜ぶことをいくらしても、”見返りを期待する心”が少しでもあれば、「ウイ・サーブ」 の真の意味を理解していないことになる…。

損得など考えず、相手の身になって”無心”でサービース出来る人間になる。
それが当たり前のように出来るようになったとき、初めて、思いやりと感動に満ちた、”何か” を悟ることができるのではないでしょうか…。

 

ご存知、元NHKのアナウンサー”鈴木健二”氏が、著書の中でこんなことを言っている。

日本人で朝起きて「お早う」って家族に挨拶する人は、一割もいない。
ほとんどはヌーと起きてくる。ところが会社に行くと、100%「お早うございます」と挨拶する。
では、何故家では挨拶しないのか? その答えは、家で挨拶しても一銭にもならないし、 気配りしないからといって、損をすることがないからです。

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