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おそろしく長い口上

明けましておめでとうございます
メルマガを始めて早や三回目のお正月を迎えました。
今年も一年お付き合いのほど、よろしくお願いします。

さて、今年最初のメルマガは、私の趣味「ことば遊び」の中から、メルマガ作成には
もっともやっかいな、「大道芸人の口上」を入力しました。暇のあるときにでも読んで
見てください。

 


【吉村外喜雄のなんだかんだ 第62号】
~ことば遊び~
「おそろしく長い口上」

一年前のお正月は、幼稚園児の間で流行った、日本一長い名前「寿限無」を紹介しました。今年は、 おそろしく長い口上で人気を博した「ういろう売り」を紹介します。
一息に言い立てると、聴く人にある種の爽快感を与え、芸としての面白味があるのです。
痰を切る薬「ういろう」を行商する際に、これを服用すれば、”こんなに痰が切れ、口がよくまわりますよ” という動かぬ証拠に、行商人が舌の軽業のような芸を見せたのが始まりです。これを芝居に取り入れたのが、 二代目市川団十郎。
当たり芸として現在に受け継がれている。

よほど我慢しないと、最後まで読みきるのは難しい。後半は次号で紹介しますが、山本さんがご存知の”早口ことば” が随所に出てきて、繰り返し読むほどに、面白くなってきます。

♪拙者親方と申すは、お立合いのうちに、ご存知の方もござりましょうが、
江戸を立って二十里上方、相州小田原一色町をお過ぎなされて、
青物町へお出なさるれば、欄干橋虎屋藤右衛門、ただいまは剃髪いたして、
円斎と名のりまする。

元旦より大晦日まで、お手にいれまするこの薬は、昔、ちんの国の唐人、
ういろうという人、わが国へ来たり、帝へ参内の折から、この薬を深く愛用し、
用いる時は一粒づつ冠のすき間より取り出す、
よって、その名を帝より”とうちん香”とたまわる。
今ではこの薬、ことのほか評判となり広がり、方々に似たような看板を出し、
手前どもの薬はどうのこうのと、いろいろに申せども、
ひら仮名をもって「ういろう」と致したは、手前ども親方円斎ばかりなり。

もしやお立合いの内に、熱海へ湯治に出かけるか、
あるいは伊勢へご参宮の折には、必ず門ちがいなされまするな。
江戸へ登るならば右の方、お下りならば、
左側八方か八棟おもてが、三っつ棟玉堂造。
正面には菊に相当するご紋をご赦免ありて、系図正しき薬でござる。

イヤ最前より家名の自慢ばかり申しても、ご存知ない方には、
正身のこしょうの丸呑み、白川夜船、さらば一粒食べかけて、
そのききめをばお目にかけましょう。
まずは薬をかように一粒舌の上へ乗せまして、腹の中へ納めたところ、
イヤなんと申しましょうか、五臓六腑すこやかになりて、
薫風、咽(のんど)上がってきて、口中びりょうを生ずるがごとし。

魚鳥木の子、麺類の食合せ、そのほか万病速効あること、神のごとし。
ただこの薬、いかにも奇妙なのは、舌がまいってしまい、
銭ごまがはだせしで逃げる。
ひょっと舌が廻りだすと、矢も楯もたまらぬようになる。

♪そりゃそりゃそりゃそりゃそりゃ、まいって来たわ、まわってくるは、
あわや咽、さたらな舌にかげさしおん、はまの二ツは唇も軽やかに、
あかさたなはまやらわ、をこそとのほもよろお…♪

ここまでが舌ならしの前口上で、このあとが聞かせどころの本番となります。
来週をお楽しみに!

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