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おにぎり

稲刈りも終わり、新米のおいしい季節です。その新米も夏なら一ヶ月、冬なら二、三ヶ月で味が落ちてくる。 新米の微妙な甘みやうまみに関係するのは、タンパク質やでんぷんを分解する酵素。古くなると、その働きも徐々に衰えていく。
新米は水をよく吸収して、柔らかくふっくらと炊きあがる。でんぷんの一部が溶け出して、独特のつやと粘りけを生み出すのです。 古くなると、水を吸いにくくなり、硬くて粘りの少ないご飯になる。更に古米になると、米に含まれる油が分解し、古米臭が出てきて、 香りも味も落ちてしまうのです。

日本農林JAS規格でいう新米とは、収穫した年の内に精米し、包装して商品化したお米のことをいいます。

読売新聞「ことばのファイル」よ

【吉村外喜雄のなんだかんだ 第47号】
~日本人のアイデンティティ~ 
「おにぎり」

秋風が肌に感ずるようになった。秋といえば行楽シーズン。おにぎりの美味しい季節です。
アテネの金メダリスト、水泳の北島選手、そして人気者、卓球の福原愛選手も、試合前にお母さんの手づくりの”おにぎり” をほおばった。「ご飯を食べないと力が出ない」という。おにぎりは日本人の元気の元。 炭水化物の摂取が試合のエネルギー元になる。お母さんが握った手のぬくもり、愛情も伝わってくる。

日本人に欠かせない”おにぎり”。家族そろっての行楽で、遠足で、運動会で、かぶりつくあの幸せ感は、 日本人にしか味わえない喜びでしょう。

日本最古のおにぎりは、我が石川県鹿西町の遺跡で、化石として見つかった。
約二千年前の弥生時代のものだという。平安時代には屯食(とんじき)と呼ばれ、宮中の宴で招待客の従者に振る舞われた。 やがて、兵士の携帯食となり、江戸時代に広く庶民に普及した。

(8/28 読売新聞「編集手帳」より抜粋)

今コンビニで買われるおにぎりは年間二十億個。今年、日本から北京に大手のコンビニが店を出した。開店初日、 市民が我先にと買い求めたのが”おにぎり”である。初めて口にする人が多い。 鮭をまぶした混ぜご飯のおにぎりが人気ナンバーワン。海の香りがする浅草海苔は、意外と不評だったと、TVで報じていた。
余談ですが、昭和二十年、アメリカは敗戦国日本を民主主義国家に改造するため、次々と新しい施策を打ち出した。政治、経済、 教育などあらゆる分野で実施されたが、学校給食に於いては、パンと牛乳を中心に据えた献立がそうであった。
パンと牛乳で、食糧不足の日本の子供たちの栄養を補おうとしたのですが、子供達の間にパン食を普及させることによって、 米食中心の和食文化に加え、小麦を主体とした洋食文化が、自然と家庭に普及するようになったのです。
その裏には、アメリカが自国で栽れた小麦を、日本へ輸出しようとする戦略が見え隠れする。

給食でパン食に慣れ親しんだ子供たちが成人し、結婚し、所帯を持つに従い、 パンやパスタなどが毎日の食卓に乗るようになった。食生活の変化がお米の消費に影響して、1960年には、 一人当たり年間消費量が120Kgだったものが、2003年には、60Kgに半減してしまった。
そういった中で、おにぎりがヒット商品として定着しているのは、日本人のアイデンティティに根ざした食品だからでしょう。

ちなみに私は大のパン好き。毎日朝食はパン。昼食もコンビニで買ったパンで済ますことが多い。60歳を過ぎて、 ご飯よりパンの方が好きというのは珍しいかも…。
近頃は、海外どこへ行っても、スシやラーメン、日本食の店がある。中でも居酒屋は一番の人気。 おにぎりが世界中どこへ行っても食べられるようになるのは、そんな遠い先ではなさそうです。

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